小規模事業者持続化補助金(令和4年)最大200万円
令和元年・令和3年度の小規模事業者持続化補助金の申請受付が2022年3月29日にスタートしました。低感染リスク型ビジネス枠は前回までで終了となり、今回から一般型に一本化された他、現行の通常枠に加えて様々な特別枠が拡充されています。また、これまで特に上限がなかったウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の4分の1上限になるなど、経費の使用ルールも変更になっています。例えば、補助金確定額を50万円とした場合、そのうち12.5万円までしかウェブサイト関連費として使えないということです。
新設された特別枠やルール変更など、小規模事業者持続化補助金の概要を紹介します。これまで補助金を活用したことがない会社や個人事業主が最も活用しやすい補助金ですので、ぜひ活用して販路開拓や生産性向上につなげてください。
※申請する際は、必ず公募要領を確認してください。
小規模事業者持続化補助金とは
補助金は国の目標(経済活性、雇用機会、生産性向上など)を達成するため、各補助金の目的に沿った事業に取り組んでいただくための支援制度です。事業の新たな展開を国がサポートして、その効果を大きくするというブースターのような狙いがあり、獲得した補助金は返済不要といった特徴があります。もちろん甘いことばかりではなく、補助金を獲得するためには事業計画書を策定し審査を経て採択される(合格する)必要があります。
採択率(合格率)は、各補助金制度によって異なりますが20~70%ぐらいです。また使った経費をすべて補助金で賄えるわけではなく、2分の1、3分の2、4分の3などが補助され残りは自己負担となります。補助金は事後の支払いになるため、立て替えるための資金をあらかじめ準備する必要があることも気を付けなければならない注意点です。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた計画書を策定した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。幅広い経費に活用できることから、はじめてチャレンジする企業や個人事業主が取り組みやすい補助金です。
補助金の対象者は
「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において、業種ごとに従業員数で小規模事業者であるか否かを判断しています。会社、個人事業主、特定非営利活動法人などの小規模事業者で、常時使用従業員数が、「商業、サービス業は5人以下」「宿泊業、娯楽業、製造業、その他は20人以下」の場合において、小規模事業者とみなされます。飲食業については、作った料理をその場で提供する場合は「商業・サービス業」に含まれますが、流用性のあるテイクアウト用の弁当等を作っている場合は「製造業」に含まれます。
公募スケジュール
2022年度は、第8回から第11回まで4回を予定されています。下記の実施期限までの間で、補助事業が終了(補助対象経費の支払いを含む)した時は、その日から起算して30日を経過した日、または下記「実績報告書提出期限」(必着)のいずれか早い日までに実施事業内容および経費内容を整理し、補助金事務局へ提出しなければなりません。各事業者の管轄が商工会地区なのか商工会議所地区なのかで提出先が異なりますので、ご注意ください。
第11回受付締切分が本補助金の最終受付回の予定です。
どのような経費に使えるのか
下記の経費が補助対象となり、その他の経費は補助対象外となります。また、補助金の額は、補助対象経費に補助率の3分の2(賃金引上げ枠の赤字事業者は4分の3)を乗じて得た額の合計額となります。
補助対象経費は、大きな変更点があるので注意が必要です。今までウェブサイトやECサイト制作は、②広報費に含まれ金額の上限はありませんでしたが、今回から③ウェブサイト関連費になりました。しかも、ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の4分の1が上限となり、ウェブサイト関連費のみによる申請はできないことになりました。例えば、補助金確定額を50万円とした場合、そのうちウェブサイト関連費として計上できるのは12.5万円までとなりました。また、事業の遂行に必要な指導・助言を受けるために依頼した専門家等に謝礼として支払う経費として専門家謝金についても、今回から対象経費外になっています。
<その他の注意事項>
・汎用性が高く目的外使用になりえるもの(車・オートバイ・自転車・文房具等・パソコン等)は補助対象外です。
・ 経費の支払いは「銀行振込」です。10万円を超える支払い(一括、分割問わず)は、現金支払いにすると補助対象外です。
・相殺や小切手、商品券等による支払いは、補助対象外です。
・クレジットカード払い等で、口座から引き落とされた日が、補助事業実施期限を過ぎている支払いは補助対象外です。
・100万円(税込)を超える支払いは、2社以上の見積もりが必要です。
・中古品の購入(50万円(税抜き)未満のものであること)については、金額に関わらず2社以上からの見積が必須です。
・オークションによる購入は補助対象外です。
補助率と補助額
補助額と補助率は以下の通りです。例えば、通常枠で申請する場合、すべての投資に60万円かかったとすると、補助率は3分の2なので補助額は40万円となり自己負担は20万円になります。投資額が90万円の場合は、補助率3分の2で補助額は60万円となりますが、補助上限額は50万円なので残りの40万円は自己負担になります。
※賃金引上げ枠のうち赤字事業者は4分の3になります。
新設の特別枠について
今回の持続化補助金は、「通常枠、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、インボイス枠」の6枠があり、そのなかから自社に適切な1枠を選んで申請します。1枠しか申請できないため、有利な枠を選択する必要があります。通常枠の補助額が最も低く、残り5枠は今回あらたに設けられました。特別枠の概要は、以下の通りです。
・賃金引上げ枠
最低賃金の引き上げが行われた中、それに加えて更なる賃上げを行い、従業員に成長の果実を分配する意欲的な小規模事業者に対し政策支援 をするため、補助事業実施期間に事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者に対して、補助上限額を200万円へと引き上げます。
賃金引上げ枠に申請する事業者のうち業績が赤字の事業者については、補助上限引き上げに追加して、補助率を3分の2から4分の3へ引き上げると共に、政策加点による優先採択を実施します。
・卒業枠
更なる事業規模拡大に意欲的な小規模事業者に対し政策支援をするため、補助事業実施期間中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超え事業規模を拡大する事業者に対して、補助上限額を200万円へ引き上げます 。
・後継者支援枠
将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組を行う後継者候補として、「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者を対象に政策支援をするため、補助上限額を200万円へ引き上げます 。
・創業枠
創業した事業者を重点的に政策支援するため、産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した 事業者に対して、補助上限額を200万円へ引き上げます 。
・インボイス枠
免税事業者が適格請求書発行事業者への転換に伴う事業環境変化に対応することに対し政策支援をするため、2021年9月30日から2023年9月30 日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は 免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者に登録した事業者に対して、補助上限額を100万円へ引き上げます 。
やることが決まっており、どうしても通常枠の50万円では足りない免税事業者は、インボイス枠をおすすめします。インボイス制度は選択制なので、選択しなくても税法上は何の問題もありません。ただし、選択しないと販売先(以下A社)が不利益を被ります。A社は当社(以下B社)に消費税を払っても、B社がインボイスの要件を満たしていないと、A社において消費税を支払ったと認められず、二重で消費税を負担することになります。そうするとA社に「B社との取引は継続できない」と言われてしまう可能性があります。事業内容によって判断は分かれるところですが、課税事業者となり適格請求書発行事業者としての登録を検討しているのであれば、こちらのインボイス枠を活用し、あらたな負担となる納税分を賄う利益獲得のために、あらたな販路開拓や生産性向上にチャレンジしたいところです。
過去の申請数と採択率
2021年度の持続化補助金は、以下の結果になっています。回ごとにバラつきはあるものの、約44~70%の採択率です。一見、採択されやすいと感じるかもしれませんが油断は禁物です。公募要領に記載がある審査の観点をしっかりと捉えた事業計画書を策定する必要があります。商工会議所や商工会の経営指導員、あるいは中小企業診断士のような専門家の助言を参考にしながら策定することをお勧めします。
審査のポイント
計画書は、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択されます。
①自社の経営状況分析の妥当性
○自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
○経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
○経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
③補助事業計画の有効性
○補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
○地道な販路開拓を目指すものとして、今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効か。
○補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
○補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。
④積算の透明・適切性
○補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
○事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。
以上に注意して、計画書を策定しましょう。
※※申請する際は、必ず公募要領を確認してください。
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